人気ブログランキング | 話題のタグを見る

徹底追及「骨盤前傾」その1

 新たなコーナーを始めます。

〜〜『プロローグ』〜〜

 骨盤前傾が良いと言うのは良く聞きますが、何故良いのでしょうか。腸腰筋が使えるのが良いと言いますが、それは何故でしょうか。大腿四頭筋が緊張するのはダメでハムストリングスが使えるのが良いと言いますが、それは何故でしょうか。
 こういった事は色々な所で良く聞かれますが、ここでは、その本質的な意味を、そろそろここら辺で明らかにしていきたいと思います。以下の問いに答える事が目的です。

「何故、骨盤が前傾しているのが良いの?」
「何故、骨盤が後傾しているとダメなの?」
「そもそも、骨盤が前傾しているとか後傾しているとか、どういう意味?」
「後傾したり、前傾したりすると、どうなるの?」
「骨盤前傾型の体型と後傾型の体型ってどう違うの?」
「腸腰筋って何?」
「なんで腸腰筋が大切なの?」
「腸腰筋って何に使うの?」
「野球の動きの、どこで働くの?」
「何故、大腿四頭筋が緊張するとダメなの?」
「何故、ハムストリングスが使えると良いの?」

 実は、これらの事は全て繋がっているのです。そして、その意味は人間が四足獣から進化して来た事と関わりがあると私は考えています。
 全ての陸上生物は魚類から進化しました。まず陸上に上がる際に、背骨だけだった体に手足が生え、ワニのような爬虫類が生まれ、次にそこからほ乳類が分化し、さらに四足歩行から二足歩行に進化して、人類となりました。
 二足歩行の歴史は進化の歴史全体で見ると、非常に浅いものです。そして二足歩行になった人間は、定説では手が自由になった事で脳が発達し、脳が発達した事で、生きる事において身体運動に頼るパーセンテージがかなり低くなりました。肉を食べるのに虎のように走って追いかける必要が無いと言う事です。
 ですから、二足歩行になった人間の運動機能の善し悪しは、四足歩行をしていた祖先の名残を、どれだけ残しているか。どれだけ、その恩恵を授かっているかによって決まって来るのです。そして、「腸腰筋」「骨盤前傾」「ハムストリングス」と言ったキーワードは、その事に関係が有るのです。


『第一章』前傾型の体型と後傾型の体型

 まず、以前から繰り返し述べて来たように、骨盤前傾と背骨を反る事がまだ、結びついているのが今の常識だと思うが、背骨を反って骨盤を前傾させると言う発想はまずは無くして頂きたい。正しい意味での骨盤前傾とは、腰椎は前湾するが、胸椎は後湾する。そのために脊柱がS字カーブを描き、外見的にはむしろ背中の盛り上がりが目立つ。

 骨盤前傾型の体型と、後傾型の体型の違いは、立位では多くの場合、非常に微妙なものである。下図の×が後傾型で○が前傾型。
徹底追及「骨盤前傾」その1_d0154281_20984.jpg


 この違いは、同じ人間でも○であったり×であったりする。骨格の姿勢を決める、深層の筋肉、いわゆるインナーマッスルの働き方やコンディションによって、自然に立った時に○になったり×になったりする事が有るはずだ。もちろん、アウターマッスルも関わりがある。
 一方、黒人と日本人の違いのように、遺伝子や先天的な問題で、前傾型になりやすかったり、後傾型になりやすかったりもする。その他、成長期が終わるまでのトレーニングも骨格がどのように成長するかと言う事に影響を与えるし、成長期が終わってからのトレーニングの仕方によっても後傾気味の特徴を持つ人が前傾気味の特徴を得る事が出来たり、その逆も有る。

 しかし、いずれにしても、立位では、その差は僅かなものであっても、前傾型と後傾型の違いは大きい。
 例えば、前傾型のS字カーブ(腰椎が前湾、胸椎が後湾)を描いている脊柱に重力がかかると、脊柱はひしゃげて、腰椎の前湾と、胸椎の後湾がより顕著になる。腰椎が前湾するので、さらに骨盤は前傾する。

 
徹底追及「骨盤前傾」その1_d0154281_20145852.jpg


 一方、後傾型の、胸椎が前湾し、腰椎が後湾した「逆S字」の場合、重力によってひしゃげた時に、胸椎の前湾と、腰椎の後湾がより顕著になる。腰椎が後湾するので、さらに骨盤は後傾する。

 
徹底追及「骨盤前傾」その1_d0154281_20165866.jpg


 日常的な動作の中で解りやすい例で例えると、骨盤後傾型の立ち方からしゃがんだ時と、骨盤前傾型の立ち方からしゃがんだ時とでは下図のような違いが生じる。これはバッティングの骨盤後傾型の構えと骨盤前傾型の構えの違いそのものである。

 
徹底追及「骨盤前傾」その1_d0154281_20184670.jpg


 図の○と×の違いは、同じ人でも○になったり×になったりする事が有る。しかし、やはり成長期が終わった時点で、前傾型と後傾型の違いは決定されてしまうようで、後傾型の人は図のようなS字のラインが綺麗に作れない。日本人の場合、むしろその方が多いはずである。日本にいると皆が日本人なので気がつきにくいが、黒人や白人を見ると、日本人との違いがよくわかる。そのため日本人の場合、トレーニングによって、如何に黒人や白人に近づいて行くかと言う所から始める事が重要になる。

 例えば成長期までの椅子に座っている時間が長かったり、また成長期が終わってからもデスクワークが多い環境で生活していると、下図のように脊柱が逆S字カーブを描いた状態で固まってしまい、骨盤後傾型の姿勢、動作になりやすい。

 
徹底追及「骨盤前傾」その1_d0154281_20252238.jpg


 単純に走ったり歩いたりと言った中で、腸腰筋は重要な役割を果たす。そのため小さい頃に運動をしていると、腸腰筋が活性化、或は発達し、骨盤が前傾した状態で固まるのでは無いだろうか。骨格の形に、小さい頃に運動をしていたか否かが出る部分は有ると思う。運動をする子は、胸椎後湾の凸アーチが高い位置に形成されている印象が有る。

by basepafolabo | 2011-08-31 20:03 | 徹底追及「骨盤前傾」  

<< 徹底追及「骨盤前傾」その2 ATMステップのメカニズム(4) >>